食品サンプルの畑中
代表取締役 畑中 紀人
「おいしそう!」とつい声が出てしまうような食品サンプルを作り続けてきましたが、
その延長線上で、実はアクセサリーを商品化したのは私たちが最初だと言われています。
創業と挑戦
当社は1965年、父・畑中教一が所沢で創業しました。父は岐阜・郡上八幡の食品サンプル会社から独立し、一から自分の道を切り拓いた人です。私自身はといえば、最初は家業を継ぐ気は全くなく、宝飾品の輸入販売の会社でサラリーマンをしていました。しかし、時期的に「そろそろ自分が継ぐべきだろう」と決心し、何も分からないまま飛び込んだのです。
ところがすぐにバブル崩壊の時代を迎え、業界も価格競争の波に巻き込まれました。努力しても結果が出ない苦しい時期が10年ほど続きました。正直に言えば、もがいてばかりの不遇の時代だったと思います。
そんな中で「どうせやるなら、自分が面白いと思うことをやってみよう」と発想を切り替えました。
それが“食品サンプルをアクセサリーにする”という企画です。
▼ FAKE FOOD HATANAKA 最初の食品サンプルアクセサリー ▼



世界が認める日本の文化
ユニークで遊び心あるアイテムは、多くの方に面白がっていただき、海外のお客様からも「これぞ日本の文化だ」と高く評価されました。
寿司やカレーといった日本食モチーフは、外国人観光客のお土産として特に人気があります。食品サンプルは日本独自の文化であり、世界に誇れる技術だと改めて感じています。
イタリア・ミラノにある美術館、Palazzo Morando パラッツォ・モランドにて開催された展示会『Gioielli di Gusto - racconti fantastici tra ornamenti golosi』(「味わいのジュエリー ─食いしんぼうなオーナメントをめぐるすばらしいストーリー」展)に、畑中サンプルの食品サンプルアクセサリーが展示されました。
私は常に「質の高さは当たり前。その上で、どうやってオリジナリティを発信していくか」が大切だと考えています。だからこそ、実在する料理だけではなく、「えっ、こんなのあり?」と思わせるユニークなサンプル作りにも力を入れています。
ネットで発表すると、意外な反応や発見があり、そこからまた新しい発想が生まれます。
2011年にはオンラインショップも立ち上げ、国内外のお客様に直接作品を届けられるようになりました。今では「食品サンプル=飲食店のディスプレイ」という枠を超え、アクセサリーや雑貨、アートとして楽しんでいただける存在になりつつあります。
FAKE FOOD HATANAKAは今後も新たな挑戦を続けていきます。食品サンプルの可能性を広げながら、これからも「見た人が思わず笑顔になる」ような作品を生み出していきたいと思っています。
「当たり前」を越える挑戦
広がる可能性
スペインのTV番組『Ja t'ho faràs』で当社が特集された際の映像の一部(自己紹介部分)です。